奇跡の道・学習書

一部・第四十一課

 神は自分と一緒にどこにでも行ってくださる。

 

 今日の想念が、やがては、分離している者みんなが感じている寂しさや見捨てられているとの思いに、完全に打ち勝つことだろう。憂うつな気持ちは、分離状態がもたらす避けがたい結果である。不安になったり心配したり、どうしようもないような気持ちになったり、惨めな思いや苦しみを味わったり、失うことを極端に恐れたり、こうしたことはみなその同類といえる。

 

 分離している者たちは、「この世界の悪」だと自ら信じていることにたいする「治療法」をたくさん発明している。しかし、一つその人たちがしようともしないことは、何が本当の問題点なのかと質問すること。しかしその問題は本当ではないので、それが及ぼした結果を治すことはできない。今日の想念にはこうしたばかげたことを永遠に終わりにする力がある。そしてたしかにそれは、いかに容易ならない悲劇的な事態になろうとも、ばかげたことである。

 

 あなたの心の奥深くには、完全なるものがすべてととのっており、あなたを通してこの世界へと輝き出る準備ができている。それが悲しみや苦痛や恐怖心や喪失感をすべて治してくれるわけだが、それはこうしたことが本当だと思い、心底から信じようとして苦しんでいた心そのものを癒すからである。

 

 あなたは決して自分のこのうえない神聖さを奪われることはない、その御源たるお方があなたと一緒にどこにでも行ってくださるのだから。あなたは決して苦しむことはない、すべての喜びの御源たるお方が、あなたと一緒にどこにでも行ってくださるのだから。あなたは決してひとりぼっちにはならない、すべての命の御源たるお方が、あなたと一緒にどこにでも行ってくださるのだから。あなたの心の平安を打ち砕けるものはなにひとつない、神があなたと一緒にどこにでも行ってくださるのであるから。

 

 あなたがこうしたことをどれも信じてはいないということは、我々にはよくわかる。どうしてあなたに信じられるだろう、真実は心の奥深くに隠され、正気を逸した思いの暗雲の下になって、見通しが悪く不明瞭でありながら、それがあなたの目にするすべてを表しているというのに。今日我々は初めて、こんな重苦しい暗雲をぬけて、そのかなたにある光へ向かうことを本当に試みようとしている。

 

 今日は、長い実践時間を一回だけとる。朝、できるだけ起きてすぐに、三分から五分すわって静かにし、目は閉じておく。実践時間をはじめるとき、 今日の想念をきわめてゆっくりとくりかえす。そのあと、何も考えようとはしないでいい。そのかわりに、この世界の無意味な思いをすべて通り越して、自分の内面に向かう気持ちになる。自分自身の心に深く深く入り込むようにして、自分の集中力をそらせるようなどんな思いも入らせないようにすること。

 

 もし助けになると思えば、ときどきその想念をくりかえすといい。しかし何よりも、内面的に深く入り込んで、この世界とこの世界のすべてのばかげた思いからは離れることだ。あなたはこんなことをすべて通り越して行こうとしている。外見の世界を去って、実在に近づこうとしているのである。

 

 神に達する可能性はきわめて高い。事実、とても簡単なことだ、それこそこの世界においてもっとも自然なことであるから。この世界において唯一、自然なことだとさえいってもいい。もしそれができるとあなたが信じたなら、道は開ける。この練習課題は、はじめての試みでさえ、とても驚くような結果をもたらしてくれるし、遅かれ早かれ、必ずいい結果になる。この種の実践については、これから先に進むにつれて、もっと詳しく説明する。ただ、完全に失敗することは絶対にないし、今すぐに成功することも可能である。

 

 一日中、今日の想念を使い、きわめてゆっくりとくりかえす、それもできだけ目を閉じてすること。自分が何を言っているのか、その言葉が何を意味するのか考えてみるがいい。その言葉が自分についてほのめかしている神聖さや、尽きることのない交わりが自分のものであることや、完全に守ってくれるものが自分を取り巻いていること、こうしたことに専念する。

 

 神は自分と一緒にどこにでも行ってくださるということを覚えていさえすれば、本当に、恐ろしい思いをものともせずに平気でいられるのである。

 

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