奇跡の道・学習書

一部・第百九十四課

 未来を神の御手にゆだねる。

 

 今日の想念は迅速な救いに向かってもう一歩進むことになるし、これは実に大きな一歩といえる。目の前にあり障害物を通り越したところにおいてくれる。あなたは天国の扉の前の芝生を踏み締めており、その静かで平安なところで、確信を持って神の最後の一歩を待つことになる。今や我々は地上からどれほど遠くにきたことか。自分たちの目標になんと近いところにいることか。残りの旅路はいかに短いことか。

 

 今日の想念を受け入れれば、あなたは心配事をみな通り越し、地獄のような落とし穴や憂うつな気持ちになる暗闇、罪の思い、罪責感がもたらすどうしようもない気持ちなど、どれもみな通り越したことになる。今日の想念を受け入れれば、あなたはこの世界を、自由への扉をかたく閉じていた重い鎖を取り外して、監禁状態から解放したということ。あなたは救われているし、自分の救いがこの世界に与える贈り物となる、あなたはそれを受け取っているのであるから。

 

 ただの一時も憂うつになったり、苦痛を味わったり、なにかが欠けているとみなしたりすることはない。ただの一時も、悲しみをまつりあげておいて、それが神妙に礼拝されるようなことはない。ただの 一時も、その一瞬が消え去ることさえない。だから、一時が過ぎゆくごとに神に手渡し、つぎのもすでに渡している、そんな時あなたは悲しみや苦痛や死そのものさえからも解放されている。

 

 神はあなたの過去や現在を握っておられるように、あなたの未来も握っておられる。それは神にとって一つもの、だからあなたにとっても一つであるべきだ。しかしこの世界では、まだ本当に時間と共にものごとが進んでいると思える。だからあなたは、実際には時間が一続きになっていないということを理解するようにとは頼まれていない。ただ、先のことは手放して、神の御手に委ねるようにと頼まれているだけだ。そうすれば自分の経験から、過去も現在も同様にその御手に任せたのだとわかってく る、過去のことはもう自分を罰することはないし、先のことを恐れるのは今や無意味なこととなるのだから。

 

 未来を手放すがいい。過去は過ぎ去ったのだし、今このときが、過去の残した悲しみや惨めさ、苦痛や失うことから自由になって、その薄情で避け難い過程を走ることになる錯覚のとりことなった状態から逃れる瞬間となる。そのあと時間の奴隷になっていた一時一時は聖なる一瞬に一変し、神の子のなかに隠されていた光は自由にこの世界を祝福する。今やその人は自由であり、その人の栄光はみな、その人の神聖さを分かち合うようにと共に自由にされた世界のうえに輝く。

 

 もしあなたが今日の課題は、実際に解放されることだとみることができさえすれば、それを自分のものにするために、ためらうことなく首尾一貫した努力をできるかぎりするだろう。それがあなたの心を左右する思いとなり、問題解決方の一つとしてすぐ思いつくようになり、誘惑を感じたとたん反射的にそ うするようになれば、自分の学んだことを世界に広めることになる。そしてあなたがすべてのものごとのうちに救いを見るようになるにつれ、この世界も救われていると見て取るようになる。

 

 いったいどんな心配事が、未来のことを神の愛に満つる御手に任せるつもりでいる人を悩ませるというのだろう。その人にどんな苦しみがあるだろう。いったい何がその人の苦痛のもとになったり、喪失感を感じさせたりするというのだろう。何を恐れるだろう。それに愛いがいのどんな思いを抱けるというのだろうか。いつか苦痛を味わうのではなかろうかという恐怖心をすべて免れた人は、今ここにある平安への道を見いだし、決してこの世界におびやかされることは有り得ないと確信しているのだか ら。その人には自分が間違って知覚することはあるかもしれないが、訂正されないままになることは絶対にないと分かっている。思い違いしたときにはもう一度選び、間違っていたら自分の心を変えることのできる自由がある。

 

 それなら、あなたの未来を神の御手にゆだねることだ。そうすることで、神の思い出をふたたび呼び寄せて、罪や邪悪な思いをぜんぶ、愛の真実と取り変えることになるから。これによってこの世界に得るところはないとか、命あるすべての生き物が癒された見方で答えようとはしないと、あなたは思うだろうか。自分自身のことを神に託した者は、自分が慰められ安全であるようにと頼んだその御手に、この世界も委ねている。その人はこの世界の吐き気をもよおしそうな錯覚を自分のと一緒に捨て去り、両方に平安を差し伸べようとする。

 

 今こそ我々は本当に救われている。神の御手のなかで、困惑することなく安らいでおり、自分たちのためになることだけが生じるものと確信する。もしそれを忘れていたら、そっと安心させてもらえる。もし許そうとしない思いを受け入れたりしたら、それはすぐに愛を反映する思いで取って変えられる。そしてもし、攻撃しそうになったら、我々の安らぎを護ってくださるお方にお願いして、自分たちのために誘惑を遠ざける選択をしてもらうことにする。この世界はもはや我々の敵ではない、自分たちがその真の友となることを選択したのだから。


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