自分には神がさせて下さる役目がある。
あなたの御父の聖なる御意志は、あなたが御父を完成させることであり、あなたの真の自己が神聖な御子となり、いつまで御父のように純粋であり、御愛によって創造され愛を持って保護され、愛を拡張し、その御名によって創造し、永遠に神とあなたの真の自己と一つに結ばれているということである。しかし、このような役目は、ねたみや憎しみや攻撃心でいっぱいの世界において、どんな意味 がありえるだろうか。
したがって、あなたにはこの世界において、そこの言い方でわかる役目がある。自分の単純な理解力ではとうてい及ばない言葉を、理解できる者はいないだろうから。 許しこそここでのあなたの役目を意味する。それは神が創造されたことではない、真実ではないことが取り消されるための手段であるから。それにいったいだれが天国を容赦しようとなどするだろうか。しかし地上においては、あなたは錯覚を去らせる手段を必要とする。創造はあなたの帰りを待っているが、完全になるためではなくて認めてもらうために、待っているにすぎない。
この世界では創造を思いつくことさえできない。創造はここでは何の意味もない。それが地上に 一番近づけるのは許しだといえる。天国で生まれたことなので、それにはまったく何のかたちもない。しかし神は、全くかたちのないものをかたちに置き換える力をもつあるお方を創造なさった。そのお方がつくるものは夢のうちだが、もう少しで目覚めそうな種類の夢なので、そのなかではすでに日の光が 輝いており、ほとんど開きかけている目はそうした夢に含まれた喜ばしい光景を見ている。
許しは天国では知られていないすべてのものごとを優しく見つめ、そうしたものが消えていくのを見る、そしてこの世界をきれいでなんの印もない石版のようにするので、その上には前に書かれていた無意味な記号に代わって、今こそ神の御言葉が書かれる。許しが死の恐怖を克服できるようになる手段だというのも、いまではそれに強く引き付ける力などないし、罪責感はなくなっているからである。許しはからだというものをあるがままに知覚させる、つまりそれは単に教えの手助けになるものであり、学習が完了したときには横たえられることになるわけだが、学習する当人を少しも変えるわけではない。
からだを伴わない心は間違いを犯すことは有り得ない。そうした心は死ぬことになるとは思わないし、無慈悲な攻撃のえじきになるとなど思うはずがない。怒りを感じることは有り得ないとすれば、 恐怖におののくこともなくなるだろう。すべての攻撃の因となるものや苦悩の核心や恐れの源を失った者たちが、どんな恐怖に襲われるというのだろうか。からだが自らの居場所だと思っている心を安心させられるのは、許しのみ。聖なる御子のために神の意図しておられるという、その平安を取り戻せるのは許しのみ。御子にもう一度、自分の神聖さを見てみるようにと説得できるのは、許しのみである。
怒りがさったら、あなたは確かにキリストの洞察力と視力の賜物のおかげで、犠牲は少しも求めら れることなく、病んで苦しんでいる心から苦痛だけを取り除いてもらえることが分かってくる。これは歓迎できないことだろうか。恐れる必要があるだろうか。それとも望まれて、感謝の念で接し、喜んで受け入れられるべきことだろうか。我々は一つである、したがって何一つ手放すことはない。それどころ か、我々は本当に神からすべてのものを授かっているのである。
しかし、こうしたことを確かに見て取るには許しを要する。それの優しい光がなければ、我々は暗中模索するにひとしく、自分たちの怒りや攻撃を正当化するためにのみ理性を使うだろう。我々の理解力は限られているので、自分で理解していると思うことも、間違いから生じたのを混同しているにすぎない。移りかわる夢や怖い思いで判断力はにぶり、何が何だか分からなくなり、光に対しては目をかたくとじ、我々の心は存在しないものを崇拝することに携わっている。
キリストのうちに生まれ変われるのは、自分が見たり思ったり想像してみる人を一人残らず許した者だけではないだろうか。だれかを閉じ込めている人は、自分自身どうして自由になれるだろう。看守は自由ではない、その人は自分も囚人と一緒に拘束されているのであるから。看守は囚人が絶対に逃げないようにしなければならないので、囚人を見張るために自分の時間を費やす。囚人を閉じ込めておくための牢獄の檻は、看守が囚人と共に生活する世界となる。そしてその囚人が解放されることこそ、両者が自由になれる道である。
したがって、だれ一人、囚われの身にしないことだ。縛る代わりに解き放つこと、そうすれば自分も自由になれる。その方法は簡単だ。かっとなるような怒りを感じるたびに、剣を振り上げているのだ と気づくこと。それを振り下ろすかそれともやめるかは、自分が有罪になることを選ぶか自由になるこ とを選ぶかによる。かくして、あなたを怒らせようとしているように見える人は、ことごとく死の牢獄から あなたをつれだす救い主といえる。だからあなたはその人に苦痛を与えるのではなくて、感謝するべきである。
今日は思いやりをもってほしい。神の子はあなたの思いやりを受ける価値がある。その神の子が、あなたに今こそ自由になる道を受け入れるように頼んでいる。その人を拒まないように。その人に対する御父の御愛はあなたのものでもある。この地上におけるあなたの役目はただその人を許すこと、そうすればその人を自分の真の身元を分かつ者として受け入れられる。その人は神が創造な さったままのすがたである。そしてあなたはその人の本来のすがたそのもの。今こそその人の罪を許すことだ、そうすれば自分がその人と一つであると分るであろう。
