自分自身を祝福することでこの世界を祝福する。
だれ一人として、自分が持っていないものを与えることなどできない。事実、与えることで持っていることを証明する。この点については前にも明らかにしておいた。たしかにそうだとするのが難しく思えるのはこのことではない。自分の与えようとするものを、先ずは自分が所有していなければならないということを疑う者は一人もいない。そのつぎの段階で、この世界と真の知覚とは違ってくる。持っていたものを与えたとすれば、あなたは自分の所有していたものを失ったことになる、とこの世界は断言する。真実は、与えることで自分の持っているものは増えていくと主張する。
どうしてこれが可能になるだろうか。もしあなたが限りあるものを与えれば、あなたのからだの目はそれが自分のものだとは知覚しなくなることは確かであるから。しかし我々に分ってきたのは、物事はただそれを作り出す思いというものを表しているということである。だから、あなたは自分の考えや思いを分かつときには、あなた自身の心の中で、それを強めることになると証明するものに事欠かない。もしかすると、そうした思いは、与えるときにはかたちが変わっているように見えるかもしれない。しかし、それは必ず与える者に帰ってくる。しかもそれが取るかたちが前より受け入れ難いものになることはない。きっとそれ以上のものになる。
あなたが想念を与えるには、先ずそれがあなたのものでなければいけない。もしあなたがこの世界を救おうとするのなら、あなたが最初に自分自身のために救いを受け入れることだ。しかし、あなたは救いが自分のまわりにいるすべての人にもたらす奇跡を見るまでは、それが成されたとは信じようとしないだろう。こうして与えるという想念が明らかになり、意味も与えられた。やっとあなたは、自分が与えることで自分の蓄えが増したということを知覚できる。
自分が大事にしているものをみな、分かち与えるという行為によって守ることだ、そうすればそうしたものを決して失うことはないと確信できる。こうして自分は持っていないと思ったものが自分のものだと証明される。ただしそのかたちを重要視しないことだ。これは、たとえあなたがどんなに安全に守ろ うとしても、時間のうちでは変化し見分けがつかなくなってしまうのだから。かたちあるものは何一つ永 続しない。ものごとのかたちの裏にある思いというものこそが、変わることなく生き続けるのである。
喜んで与えるがいい。そうすることで得ることができるだけである。思いそのものは残るし、与えることで強化されてより強いものになる。思いというものは分かち合われるにつれて広がっていく、そ れが失われることは有り得ないのだから。この世界が考えるような意味での、与える人と受とる人は いない。確かに与えておいて、なおかつ与えたものをそのまま保つ人と、もう一人、同様に与えることになる人がいる。そしてこうして交換することは、必ず二人にとって得になる、お互いに自分にとって最も役立つかたちでその思いを抱くようになるのだから。失うように思えるものがあるとすれば、それはいつでも自分に必ず戻ってくるものを、過小評価しようとするときだろう。
自分自身に与えるだけだということを決して忘れないことである。与えることが何を意味するのかよくわかっている者は、犠牲を払うという考えかたをきっと笑って無視するだろう。それにいろいろなかたちで犠牲を払うことになりかけても、その見分けがつかなくなることはない。同様に、苦しんだり失っ たり、病気になったり嘆き悲しんだり、貧困や飢餓や死、こんなことをものともしない。その人はこうしたことの裏に犠牲を払うという一つの考えが潜んでいることに気づくし、そっと笑って済ますことでそうしたことは癒されるのである。
錯覚だと見分けられたら、そんなものは必ず消えてなくなる。苦しみを受け入れないこと、そうすれば苦しいという思いを取り除ける。あなたがすべての苦しみをその本来のすがたのまま見ることにすれば、苦しんでいる人みんなを祝福できる。犠牲を払うという思いそのものが、色々なかたちでの苦しみとして表れてくるようだ。犠牲になるというのは、実に狂気そのものであるから、正常な心はそんな思いをすぐに払いのける。
自分は犠牲を払えるとなど決して信じないことである。何らかの価値あることには、犠牲が入り込む余地はない。もしそんな思いが浮かんだら、そう思っていること自体、間違いが生じたことを証明す るので、訂正を必要とする。あなたが祝福することでそれを訂正できる。最初に与えられているので、こんどは同じようにあなたが与える番だ。犠牲や苦しみがどのようなかたちであれ、許されたうえで自分自身を祝福した者の面前では、長くは続かないであろう。
あなたのきょうだいが差しのべてくれる百合の花はあなたの祭壇においてあるし、あなたがその人に差しのべる百合の花もそのそばにある。いったいだれが、これほど素晴らしくて神聖なものを見るのを恐れたりするだろうか。神を恐れるという大きな錯覚は、あなたがここで目にする潔白なものを前にして、実在しないものと成り果てる。恐れずによく見てみるがいい。あなたの目の前に表われる祝福されたものは、かたちを思わせるものをすべて取り去って、そのかわり、そこに申し分ない永遠の贈り物を残し、それがいつまでも増えつづけ、永遠にあなたのものとなり、いつまでも与えられることになる。
今こそ我々は、恐れが去ったので一つの思いを持っている。そして唯一の神、唯一の御父、唯 一の御創造主、唯一の御思いへの祭壇の前に、我々は唯一の神の子として一緒に立っている。我々の御源たるお方から離れることなく、我々の唯一の真の自己の一部であるきょうだいから遠くはなれず、その真の自己の潔白さが我々をみんな一つに結びつけてくれたので、恵みのうちにたたずみ、受け取るがままに与える。神の御名を口にする。そして、内面を見つめれば、御父の御愛を我々が反映するうちに、天国の清らかさが輝いているのが見える。
いま我々は祝福されている、だからいま我々はこの世界を祝福する。我々が見たものを拡張することにしよう、それをあらゆるところに見るつもりでいるのだから。それがみんなのうちに神の恵みで輝くのを見るつもりだ。そうした恵みが我々の見つめているどんなものにも与えられないままにさせるつもりはない。そして、この神聖な光景を我々のものとして確保するために、それを自分たちが目にするものすべてに差し伸べる。我々がそれを見るところで、それは自分たちの祭壇におくことができる百合の花として戻してもらえるので、そこは潔白なるお方御自らの住まいとなり、そのお方は我々の内にとどまって、御自分の神聖さを我々のものとして差し伸べてくださるのである。
