自分が癒されるとき、自分一人だけ癒されるのではない。
今日の想念は救いが基く中心的な思いでありつづける。癒しは、病気や分離状態にこだわるこの世界のすべての想念と、相反することであるから。病気は他の人たちから逃げることであり、人の輪に加わらずに閉じこもることだともいえる。それは分離した自己を閉じ込める扉となり、その自己を孤立させ一人ぼっちにさせておく。
病気は孤立することである。それはある人を他のみんなから離れさせて、他の人が感じていないことを苦しんでいるように思えるのだから。それはからだに、分離状態を本物にする最終的な力を与え、心を、病んだ肉体の頑丈な壁で分裂させ別々にして独房に閉じ込めているようなものだし、心はそんな肉体に打ち勝つこともできない。
この世界は病気が役立っている法則に従っているが、癒しはそんな法則から離れて作用する。だれかが一人だけ癒されるということはありえない。病気のときその人は他の人から分離しているに違いない。しかし癒しとはその人自身、もう一度ひとつになり、自分の真の自己をそのすべての部分はそっくりそのままで、襲われていない状態だとして受け入れると決心すること。病気のときは、その人の真の自己はばらばらになっており、その真の自己に命を与える結束がないように見える。しかしその人が、からだには神の子全員が一つとなっているすがたを攻撃する力などない、と見なせば完全に癒される。
病気はうそ偽りが真実に違いないといって、それを証明しようとする。しかし癒しは真実こそが本当だと実証する。病気が押しつけようとする分離状態は決して実際には起こってはいないのである。癒されるとは、ただ常に簡単な真実であったしこれからもずっといままでと全く同じように存続するというものを、受け入れるにすぎない。ただし錯覚に慣れている目は。それが見ているものは間違っているということを見せてもらう必要がある。だから癒しは、真実であることには全く必要とされないが、病気は本当ではないということを実証しなければならない。
癒しはしたがって、夢の反対のものと呼べるが、それは病気の夢を真実そのものによってではなくて、真実の名によって取り消してくれる。ちょうど許しが、達成されたためしのない罪をすべて見逃すように、癒しはただ起こってもいない錯覚を取り除くだけだ。ちょうど実相の世界が、まったくあったためしのないことに取って代わるために生じるように、癒しはただ想像した状態とか、夢が真実を描いたように作り替えた間違った想念にたいして、その返還を申し出るにすぎないのである。
しかし、癒しはあなたのここでの役目に値しないとは思わないことだ。反キリストはこの世界が本物だと夢見ている者たちにとって、キリストよりももっと力のあるものとなるのだから。からだは心以上にがんじょうで安定しているように思える。そして愛は夢となり、その反面で恐れはちゃんと分かるし当然だと言えるし、じゅうぶん理解できる唯一の現実として存続する。
ちょうど許しが罪をすべて光で照らし、実相の世界があなたの作ったところを占めるように、癒しも必ず、あなたが簡単な真実の前にかかげている病気だという空想に取って代わる。病気が、それを保とうとするたくさんの法則にもかかわらず、消えていくように見えたら、その癒しは本物だし、疑問は答えられたことになる。そうすればそんな法則はもはや大事にされることはないし、従われることもない。
癒しとは開放されることである。それは夢が真実であることにはかなわないということを実証するのだから。癒しは分かち合われる。この特性によって、癒しは、病気は避け難いとするのとは違う法則のほうが、病気がちにするぶんよりも有力だということを証明する。癒しは力である。その優しい手で弱々しさは克服され、からだのなかに閉じ込められていた心は自由に他の心と結ばれ、永遠に強くなる。
癒しと許し、そして悲しいことでいっぱいの世界を悲しみが入り込めない世界と喜んで交換すること、こうしたことを使って、聖霊はあなたについてくるようにとしきりに勧める。聖霊のやさしい教えが、救いはいかに容易にあなたのものになるとか、聖霊の法則に、あなたが自分自身をまるで死刑囚のようにするために作った法則にとって代わらせるには、ほんの少し実践する必要があるだけだと教えてくれる。あなたが、今まで自分を苦しめる原因となったすべてのものから自由になるために、聖霊が求めるわずかな助けを差し出すにつれて、聖霊の命があなた自身の命となる。
そしてあなたが自分自身を癒してもらうにつれ、まわりの人や自分の心をよこぎる人、あるいは自分と関わりのある人とか、なんの接触もないように思える人、その人たちがみんな自分と一緒に癒されたのが分かる。もしかするとあなたは、みんなのことを気づかないかもしれないし、自分が癒してもらった時、いかに多くを全世界に捧げることになるか悟こともないかもしれない。しかし、決してあなた一人だけが癒されたのではない。あなたが癒されたとき受け取る贈り物を、本当におおぜいのひとが受け取ることになるのである。
癒された者たちは癒しの道具となる。それにその人たちが癒された瞬間と、その人たちが与えるためにと癒しの恵みがすべて授けられるまでの時間にずれもない。神に反対するものは存在しないし、それを自分の心に受け入れないでいる者は、疲れた人たちが安らげる安息の場を提供するようになる。それというのも、ここにこそ真実が授けられるし、ここですべての錯覚は真実へともたらされるからである。
あなたは神の御意志を保護する場を差し伸べるつもりはあるだろうか。あなたはただ自分の真の自己に対して気を楽にするようにと招いているだけである。それにこうした招きを拒否できるだろうか。必然的なことに起こって欲しいと願えば、絶対に失敗することはない。もう一つの選択は有り得ないことにあってほしいと願うことにすぎないので、そんなことはうまくいくはずがない。今日、我々は癒しの思いがこの日癒されたものから、まだ癒される必要があるものへとおもむき、双方が一つとなって生じると分かっていて、真実のみが自分たちの心を占めるようにと願おう。
一時間ごとに、我々は自分の心を癒してもらうことだということを思い出そう、そうすれば癒しをこの世界にもたらし、のろいを祝福と交換し、苦痛を喜びにそして分離を神の平安と交換できるだろう。こうした贈り物を受け取るためなら、一時間に一分ほど、それに割く価値があるのではないだろうか。すべての贈り物のためなら、わずかな時間は小さな代償ではなかろうか。
とはいえ、我々はそうした贈り物のために準備する必要がある。したがって、我々はこの日をはじめるにあたり、つぎのような想念に十分間を割き、夜も同様にして今日一日を終えることにしよう。
自分が癒されるとき、
自分一人だけが癒されるのではない。
だから、自分の癒しを
この世界と分かち合うつもりだ。
そうすれば病気は、自分の唯一の真の自己たる
神の御ひとり子の心から
払いのけられることだろう。
まさにこの日、あなたを通じて癒しをもたらすがいい。そして静けさのうちに安らぐといき、自分が受け取るままに与える準備をし、自分の与えるものだけを保持し、いままで想像したすべての馬鹿げた思いに取って変わる、神の御言葉を受け取る用意をすることだ。今こそ我々は病むものをみんな良くならせるために一緒になり、つぎのような思いで、自分たちの目的を思い出そう。
自分が癒されるとき、
自分一人だけ癒されるのではない。
だから自分のきょうだいたちを
祝福するつもりだ。
その人たちが自分と共に癒されるとき、
自分はその人たちと共に癒されるのだから。
